
ベトナムの人口は増え続けており、2019年現在では9,500万人を超える人口となっています。こちらの記事では、ベトナムの都市別人口ランキングや今後の人口や年齢別人口の推移について説明していきます。また人口に大きな影響を与える、平均年齢、平均寿命、出生率、男女の人口比率などの推移を説明します。
※この記事では国連が基本的には発表をしている「World Population Prospects 2017」のデータに基づいて解説をしていきます。グラフもそのデータを元に作成をしています。
ベトナムの保健省人口・家族計画化総局によると、ベトナムの人口は2018年時点で9,467万人でした。ベトナムの全国の人口は、世界で14位の数字だったそうです。
ベトナムと言えばホーチミンやハノイが有名ですが、その他に人口が多い大都市はあるのでしょうか?ここでは、ベトナムの都市別の人口ランキングをお伝えします。(こちらでお伝えする人口は、2017年末から2019年頭までに測られた人口です)
1位:ホーチミン
886万人。毎年平均17万人ずつ人口が増加しているため、2020年には900万人を超える見込み。
2位:ハノイ
778万人。ホーチミンよりも人口増加が多く、毎年20万人ずつ人口増加しています。2019年中に人口800万人を超える見込みです。
3位:ハイフォン
約200万人。ベトナム北部のハノイ近くにある湾岸都市で、他の大都市同様人口増加が続いています。Samsung、LGなどの韓国資本の大規模工場が建設されるなど、今後も経済発展に伴い人口が増加する見込みです。
4位:カントー
157万人。ホーチミンから車で5時間程度の場所にある、メコンデルタ地域の中心都市です。米の全国生産量の50%を占めるなど「ベトナムの穀倉」と呼ばれる場所で、今後も農業を中心に人口増加が見込まれています。
5位:ダナン
123万人。ベトナム中部の最大の都市で、観光都市として成長を続けています。ハノイやホーチミンなどの大都市からの移住者も多く、3位ハイフォン、4位カントー以上の人口増加が見込まれています。
ちなみに上記の5都市はベトナムの省には属さず、省と同格の行政区分にあたる「中央直轄市」です。現状、ベトナムの中央直轄市は上記の5つの都市のみです。
ASEAN域内の他の国と比較をするとどうなのでしょうか?
下記の通り、ベトナムの人口はASEAN域内で3位に位置しています。インドネシアの人口はダントツで多く、フィリピンがベトナムより約1,000万人多いです。ベトナムの次にタイが位置していますが、ベトナムとは約3,000万人の大きな開きがあります。
人口ボーナス期とは、総人口に占める生産年齢人口 (15歳~64歳の人口) が増え続け、経済成長を促進させる時期のことを指します。一方、人口ボーナス期に経済規模の拡大ができなければ、増加した労働人口を吸収できずに失業率の増加を招くというリスクもあります。例えば、直近までフィリピンは人口ボーナスを経済発展に繋げることができておらず、失業率の増加と治安の悪化を招いていました。
日本では、世界的にも早い1992年に人口ボーナス期が終了をしたとされていますが、ベトナムではどうでしょうか。実はベトナムもすでに人口ボーナス期は2016年に終了をしたとされています。
人口ボーナス期が終了したベトナムですが、人口ボーナス期に上手く外資系企業の誘致などにより雇用を増やすことができたため、失業率を増やさずに経済の急成長へと繋げることができました。
ベトナムの人口推移と年齢別人口の推移予測をみていきます。
下記はベトナムの人口と増加率の推移予測を示したものです。ベトナムの人口は右肩上がりを続け、2060年ごろに約1億1500万人になるまで伸び続けると言われています。その一方で人口の増加率としては1975年の終戦よりもずっと前から落ち続けており、人口増加は緩やかになってきています。
ベトナムでは総人口に占める生産労働人口(15歳~64歳の人口) の割合も減り続けることが想定をされています。下記のグラフは、「14歳以下」「15歳~64歳」「65歳以上」が総人口に占める割合の推移を表したグラフです。
下記をみると14歳以下の占める割合は今から50年ほど前に減り続け、さらにここ最近になって65際以上の占める割合が急激に増加をしてきているのがわかります。
これからのベトナムの人口推移を説明する上で、ベトナムの平均年齢、平均寿命、出生率推移、男女比率などが重要なトピックとなってきます。それぞれ説明します。
ベトナムの人口の話となると、平均年齢が低いことがよく話題になります。日本と比較をすると、街を歩いているだけで、明らかにベトナム人の方が平均年齢が低いことがわかるほどです。
世界銀行の調査によると、ベトナムの平均年齢は30.9歳とされており、日本の平均年齢が46歳を超えていることを考えると非常に低い水準と言えるでしょう。
ただし、ベトナムの平均年齢はすでに上がり続けています。2000年には平均年齢は24.2歳であったことを考えると、ここ20年で平均年齢は大きく上がったことがわかります。あとで詳しく説明をしますが、これは少子化高齢化が進んでいるためです。
寿命は国の発展とともに伸びていくものですが、ベトナムも同様です。
下記は世界銀行が発表をしたベトナムの平均寿命の推移です。2017年時点ののベトナムの平均寿命は76.45歳です。日本の平均寿命が84歳以上であることと比較をするとまだまだベトナムの平均寿命は短いですが、それでも毎年平均寿命は伸びています。
もちろん、平均寿命が伸びることは国にとって喜ばしいことですが、それと同時に国の社会保障負担を増加させ経済成長を阻害する要因と見ることもできます。
ベトナムで高齢者の寿命が伸びることによって、高齢者人口が増加をすることに加えて、ベトナムでは子供の人口が減っています。下記はベトナムの合計特殊出生率の推移です。1970~1975年には6.33を記録していましたが、現在のベトナムの合計特殊出生率は2に満たない状態になっています。
出生率の低下は日本だけの問題ではなく、ヨーロップ諸国、北米などの先進国においても大きな問題となっています。ベトナムも同様、出生率の低下に伴う今後の人口減少に向き合っていくことになります。
ベトナムでは、男女出生比の差が大きいことが一つの問題となっています。
ベトナムの保健省人口・家族計画化総局の2018年の統計によるとベトナム国内の男女出生比が115(女子100に対する男子の割合)を超えているそうです。
出生時の自然な男女比は、女児100人に対して男児105人前後と言われていますが、ベトナムの男女出生比は明らかに自然な比率から逸脱しています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
特にベトナムの農村部では男性が家の跡取りとなるべきという男系主義の考えが根強く、多くの家庭が男児も欲することから”男女産み分け”が発生していると言われています。法律上、”男女産み分け”を目的とした中絶はベトナムでは認められていませんが、それでもこの男女出生比を見ると”男女産み分け”が行われている可能性が高そうです。
このアンバランスな比率は将来的にベトナムの人口に大きく影響すると予想されています。このままだと、2050年には結婚適齢期の男性230万~400万人が余ってしまうと言われています。つまり、自然な男女出生比の社会に比べて、ベトナムでは子供数が少なくなってしまうということを意味します。
ここでは参考までに、ベトナムの人口と日本の人口を比較してみます。
下記はベトナムと日本の人口推移の予測を比較をしたグラフです。
現時点では3,000万人ほどの差がありますが、ベトナムと日本の人口は2045年前後には逆転すると言われています。
このように見るとベトナムと日本では、全く異なる形で人口が推移してきたように思えます。しかし、ベトナムと日本の人口推移は時間軸をずらすととても似ていることがわかります。
下のグラフはベトナムと日本の「14歳以下」「15歳~64歳」「65歳以上」が総人口に占める割合の推移を表したグラフです。
その時間のズレは40年と言われており、1945年の日本の終戦と1986年のベトナムのドイモイ政策(資本主義経済の導入)開始の時間のズレと一致します。
例えば2019年現在のベトナムは、1980年ごろの日本と同じような人口構成となっており、その後も似たような曲線を描いていくことがわかります。
ここから何が言えるでしょうか。ベトナムも数十年後は現在の日本と同じような少子高齢化の人口構成になる可能性が高く、同じような社会課題を抱えることになる、ということが言えます。
また、ビジネスに目を向けても高齢者向けのビジネスチャンスが大きい社会になることは間違いありません、具体的には、介護、ヘルスケア、保険などの市場規模が大きくなる可能性が高いです。そうなると、「少子高齢社会先進国」である日本の知見を生かすチャンスも大きくなります。
いかがでしたでしょうか?
一般的に言われるように確かにベトナムは人口(=労働力)が豊富で、平均年齢が若い国です。進出企業にとってそれが大きなメリットであることは疑いがないでしょう。ただ、明るい要素しかないわけではありません。この記事がベトナムの人口、そしてベトナムの未来予測への理解に役立ていただければと思います。
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